2013年7月17日水曜日

白い犬とワルツを  テリー・ケイ

「きょう妻が死んだ。結婚生活57年、幸せだった。」

妻のコウラに先立たれ一人の生活を始めたサムの前に、白い犬が姿を見せるようになる。その犬は、サム以外には中々姿もみせず、触らせもしない。吠えることもなく、他の犬に吠えられることもない。この世の犬なのだろうか。

サムは、自分のようなオンボロトラックに白い犬をのせて、子供達に何も告げず高校の同窓会に出かける。子供達が心配してくれる気持ちはわかるが、「あまり干渉して欲しくない」、「まだ一人でできるんだ」という思いから一人で何も言わずに出かける。サムは、木を育て、売る仕事をしており、そして成功している。子供達も立派に育て上げた男なのだ。

途中道に迷い、危ない思いをしながらなんとかたどり着くが、会場には入らずにコウラ結婚を申し込んだ木立の中で日記に「生涯最良の日だった」と当時を振り返り綴る。

やがて、サム自身もガンになり、白い犬と痛みに耐えながら過ごすが、いよいよ最期の日が近づいていることを悟と、子供達に交代で看てくれるように頼む。そして、サムのもとから白い犬は姿を消す。

最期にサムは、打ち明ける。
「あの犬は、お母さんだったんだ」と。
一人残したサムが心配で、よりそうために犬の姿で戻ってきた。
そして、子供達が側で世話を見始めると安心して姿を消したのだと。

作者によると、この話は作者の両親の実話に基づくものだという。
母に先立たれた父にとって、この「白い犬」の存在のようなものがあったのだと。

よく、あれは誰々の生まれ変わりだとか、姿をかえて戻ってきたんだとか、日本でも言うもんだが、アメリカにもこういう感覚があるんだな〜。




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